設立趣意書

平成24年3月20日

 

一般社団法人介護トラブル調整センター
代表理事 外岡潤

 

 かつてない勢いで高齢化が進行する現代の日本社会では、2000年の介護保険制定以来様々な介護サービスが創出され、その利用者数、事業者数は共に増加の一途を辿っています。その一方で、介護の現場で生じる事故等を原因とする利用者・事業者間のトラブルも日毎に増加しつつあり、交渉がこじれると長い年月を費やす本格的な「介護訴訟」に至るケースも珍しくありません。
 しかしながら、少子高齢化の著しい我が国において介護の事業者は慢性的な予算不足・人材不足に苦しんでおり、今の紛争状態を放置し訴訟が増加すれば、介護業界自体が早晩衰退するであろうことは想像に難くありません。他方、不満や苦情を訴える利用者やその家族は、損害賠償による金銭的解決ではなく、あくまで事業者の端的な謝罪や真摯な対応を望んでいる場合が多いのであり、現状ではその実現の場が存在しないために、止むを得ず裁判という最後かつ唯一の手段に及ぶのではないかと思われます。

 私達「一般社団法人介護トラブル調整センター」の設立メンバーは、そのような介護トラブルを話合いにより解決し、一件でも多くの不毛な紛争の予防に資することを願って、本法人を立ち上げました。
 
本法人は、「対話文化の普及による平和の創造」を目的とし、主に下記活動に尽力して参ります。

1.紛争解決に向けた実践的取組み
介護・福祉系トラブル専門のADR(裁判外紛争解決機関)「てるかいご」の活動を通して、対立関係に陥った利用者と事業者に対し和解のための話合いの場を提供し、調整人(メディエーター)が双方を仲介し対話を促進することで、裁判によらない柔軟かつ円満な紛争解決を目指します。

2.紛争予防のための対話文化の啓発活動
対人関係調整(メディエーション)の技術を、介護事業者のみならず広く一般社会に伝え、対話文化を普及させることで、他者への思いやりや感謝の念の源となる相互理解の姿勢を浸透させ、真の平和の創造に努めます。

上記活動が社会に信頼され広く受け入れられるためには、その活動主体が高度の公平性・中立性および透明性を保持することが必要です。そのため私達は、今後の中期目標として「公益法人への移行」および「ADR法に基づく法務省の認証の取得」を掲げ、公益を第一義と弁え高い倫理性を意識し日々活動しています。

「老い」は、およそ生物であれば誰しも避けられない必然の現象であり、「介護」は本来全国民が意識を持って取り組まなければならないテーマといえるでしょう。今、介護を必要としない若者が数十年後に介護を受ける側に回ったとき、その現場が疑心暗鬼に充ち殺伐とした空気に支配されているか、それとも真心の交流により形成された信頼関係に基づく、笑顔の絶えない生き生きとしたものとなるかは、一重に私達の努力次第であると考えます。今の高齢者が敬われ、未来の高齢者も変わらず大切にされるような社会の実現を目指し、皆様とも広く助け合い共同して活動して参りたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

 

以上